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フォルテピアノへの道2
フォルテピアノって、なぁーに?

日本ではピアノのことを【ピアノ】というけれど
彼の国イタリアではpianoforteと言いますね。
ではそれをひっくり返したfortepiano とは一体どんな楽器なのでしょう⁉️

ピアノの起源はイタリアのフィレンツェで、1688年からメディチ家に仕えたクリストフォリ(Bartolomeo Cristofori 1655-1731)が爪(プレクトルム)で弦を弾いて音を出すのではなく、それまでのチェンバロの音を出す仕組みから「ハンマー」で弦を打って音を出す仕組みを開発したのだった。これによって奏者の指先によって音に強弱をつけることが可能となり、世紀の大発明となったのである。その美しい発明品は瞬く間にヨーロッパ全土へ、スペイン、ポルトガル、ドイツへと広がっていく。

ジルバーマン(Gottfried Silbermann 1683-1753) はクリストフォリのピアノに魅了され試作を重ねる。1747年ポツダムのサンスーシー宮殿でフリードリヒ2世に命によりかのバッハ(Johann Sebastian Bach 1685-1750) が即興演奏に応じた時に奏でた楽器がジルバーマンのピアノであった。試作の段階でジルバーマンがバッハに助言を求め、また公で演奏したことは、オルガンやチェンバロ、クラヴィコード(後述)だけでなく【バッハがピアノを弾いていた】ことがわかる。作曲家たちが演奏家でもあり楽器アドバイザーでもあった時代の豊かさを感じる。

またジルバーマンは現在のピアノではどのピアノにも付いている「ダンパーペダル」(一般には音を保持するための)考案者でもある。かの太陽王ルイ14世のお気に入りであった「パンタレオン」(ダルシマー、もしくはツィンバロン)という楽器のなんとも言えない妖艶な響きからダンパーペダル(ダンパーを常時開放することで音の響きを豊かにする)の着想を得たというから、「民族楽器としてのピアノ」という現代では忘れがちな観点を今一度思い起こさせてくれる。

後述するウィーン式のピアノに特有の「モデレーター」もこのパンタレオンを演奏する時に、綿を巻いたバチの音色を模倣して作られたというからその幽玄な響きにいかに人々が魅了されていたかがわかる。